ガラスびんフォーラム

● 50年記念若手座談会 〜 ガラスびんの今、未来、夢… 〜 後編

 個性的なガラスびんへの挑戦が生き残りの鍵 

司会 ガラスびんのイメージをお聞きしましたが、それを踏まえて、こんなガラスびんがあったらいいな、というアイデアはありますか?

菅昌 ガラスびんには重いし割れるというマイナスイメージがあるため、需要低下に伴う少ロットの案件が増えています。ガラスびんは一度に多量の数が生産できますが、在庫を長期保管するとデメリットも生じてきます。割れにくく、小回りのきく製品ができれば、もっと多くの方に使っていただくことができ、在庫を減らすことにもつながると思います。また、弊社ではガラスの中に花を入れたブライダル向けの製品が好評を得ているので、記念品としてずっと残しておきたくなるような製品を増やしていきたいです。

大川 品質的に難しいかもしれませんが、泡だらけのびんや、表面がシワシワのびんなど、これまでにないチャレンジ的な商品があっても面白いと思います。また、弊社では色替えを頻繁に行うのですが、規格に入っていないため、良い色のガラスびんを捨てています。常々もったいないと感じていたので、消費者に容器の使用方法をゆだねてしまうというのも方法の一つだと思います。そのほか、ガラス製の蓋がついたオールガラスびんが製品化できれば、見た目もいいですし、使用後に蓋とボトルを一緒に捨てられるだけでなく、リユースも可能になります。あるいは、プリンのようにアイスクリームをびんに詰めた商品も人気が出そうです。一目で何を食べているのかがわかるので安心感がありますし、丸みのあるびんであれば食べやすく高級感もあります。他にも、ガラス製のネジをつくって本体と合体さたり、大きい口の王冠を大きな栓抜きでポンッと抜くような遊び心のあるびんビールがあっても楽しいかもしれません。

石川 求められれば努力はしますが、泡の入ったびんは品質的に厳しいですね(笑)。若い世代にどのようなガラスびんの形状がいいかを尋ねたところ、斬新なデザインがたくさん寄せられました。そこからもわかるように、世の中は今までにない変わった形状を求めており、それが実現できるような体制になれば、かなりの強みになります。弊社で白と茶の色替えを始めた当初、どのように色が変わっていくかを理解していない社員の中から、「同じ色のものは買わないけど、マーブル色のものがあったら買う」という意見が出てきました。実際にはマーブルになることはありませんが、確かに色が混ざり合えば面白いと思います。また、握力に劣る女性やシニア層の方でも開けやすいびんを製品化していますが、これからはそういう発想も必要になると思います。

野口 ガラス製のキャップは技術的に難しいですが、実現すれば魅力的な製品になると思います。潰れてもけがをしない缶やペットボトルに比べ、ガラスびんは落とせば割れてけがをするイメージがあります。また、リサイクルのガラスびんはカレットを原料にしていますが、カレットにする作業が大変という問題を抱えています。では、繰り返し利用するリターナルびんがいいかというと、業者不足で洗浄が間に合わない上、我々製造側からすればびんが売れなくなるので困ります。ですから、安全面のマイナスイメージを払拭するためにも、割れないびんをつくるとともに、びんに張る紙のラベルを缶のように直接印刷して処理を楽にすれば、より手軽に利用できると思います。

山口 大川さんが提案した泡が入っているびんやシワのあるびんに近いのですが、ボトルをつくるときに表面に色のある小さいガラスの粒を入れられたらいいと思います。それもペットボトルのように均一ではなく一点一点違うものをつくれば、店頭でお客様自身がどの模様にしようかなとセレクトする楽しみがプラスされます。昔のラムネびんやコーラびんのように、あえて違いや個性のあるものがつくれたら楽しいのではないでしょうか。

野口 残念ながら、今の設備では、安定的に泡を入れたりシワを寄せたりすることはできないので、現実的には難しいですね。でも、発想は面白いと思います。

古川 ヨーロッパでガラスが選ばれるのは、大量生産することで安価になるからです。使われなくなれば価格は上がり、小ロットになることでさらに価格が上がる。これは、ある意味デフレ・スパイラルのようなもので、一度そこにはまってしまうとなかなか抜け出せません。今から価格を上げることは現実的に難しく、かといって価格競争に勝つためにロットを大きくすることは、個食化傾向にある現代では困難です。さまざまな問題はありますが、ロットを小さくしてなるべくバリエーションを増やしていくことが最善の解決策だと思います。

 工夫を凝らした広報活動でガラスびんの良さを伝えたい 

司会 ガラスびんフォーラムへの期待や要望についてはいかがですか。

菅昌 この座談会に参加することになってホームページを見ましたが、もっとガラスびんの広報活動をしていくべきだと感じました。例えば、若い女性の目に留まるようなデザインに変えたり、びん協さんがやっている「びんむすめ」のような活動に取り組んでみてはいかがでしょうか。また、ガラスびんメーカーが展示会に出た際、フォーラムから費用の一部を補助してくれる制度があると助かります。

大川 私も、「びんむすめ」のようにアイドルやゆるキャラのように親しみのあるキャラクターをつくり、子どもと触れ合う機会を設けたり、メディアに取り上げられるような広報活動を進めていくべきだと思います。また、ガラスびんに触れる機会を増やすために、工場見学などを積極的に実施すれば、もっと多くの方に認知されるはずです。

古川 ホームページをチェックしたときに、更新されるのがいつも会長人事の一覧ばかりというのも気になります。また、難しいとは思いますが、各社共通の金型でまとめてロットがつくれるような仕組みをガラスびんフォーラム主導でまとめてくれるとうれしいです。

黒田 以前、弊社の色びんを山村製壜所さんでテスト的につくってもらったことがあり、驚くほど自社と異なるびんが出来上がったことに驚きました。ですから、他社の製品を自社でつくるという試みは面白いですね。ノウハウの流出などをクリアした上で挑戦すれば、さまざまな製品開発の足掛かりになると思います。広報活動に関しては、若年層からシニア層までを網羅するのは難しいので、ターゲットを絞って狭く深く攻めていくべきだと思います。中でも、財布を握っている主婦をメインターゲットにするのが最適だと思います。することです。また、化粧品事業でも行っているのですが、ガラスびんの浸透につなげるためにブロガーさんを起用してSNSで発信してもいいと思います。

石川 もちろん広報関係を充実していくのは大切ですが、それ以前にガラスびんフォーラムの活動がわかりづらいというのが正直な感想です。取り組みが大々的に広がれば、もっと要望も出てくるのではないかと思います。

野口 私もガラスびんフォーラムがどういうことをやっているのか詳しくわかりません。私たちは製造側なのでガラスのことを知っていますが、一般的にガラスびんの良さをわかる方は少ないでしょう。ですから、ガラスびんフォーラムには、幕張や東京ビックサイトなどでイベントを開催し、子どもたちにガラスびんの素晴らしさを伝えてほしいです。また、製びん設備メーカーであるエムハートは全世界を顧客としていますが、日本のガラスびん事情をよく説明し、特に厳しい日本の品質レベルを理解して設備を作ってもらう様、業界として説明して行く事も重要だと思います。

山口 興亜硝子が出展するイベントでは、子どもたちにガラスを身近に感じてもらえるよう、ペーパーウェイトに文字や絵を彫る体験コーナーを設けています。来場者の多くは、松徳硝子の「うすはり」などを購入するためにやって来たシニア層なので、体験コーナーを通じて、お年寄りとお孫さんが一緒にガラスに触れ合う機会をつくれば面白いと思います。また、ガラスが割れるのは仕方のないことですが、万が一割れたときに危なくないよう、破片を粒状にできないでしょうか。もし、それが実現できれば、けがをする危険性が減るとともに、子供でも安全に片付けることができ、ガラスびんの利用率も高くなると思います。

岡田 私が考えたのは、若年層の方の目に留まるようにInstagramやFacebookを利用してガラスびんの活用方法をPRしたり、男性的なイメージがあるガラスびんフォーラムのホームページをかわいくオシャレにすることです。また、化粧品事業でも行っているのですが、ガラスびんの浸透につなげるためにブロガーさんを起用してSNSで発信してもいいと思います。

佐々木 私も積極的な広報活動が必要だと思います。ただマスマーケティングよりは、ダイレクトマーケティングの広報に力を入れるべきだと思います。具体的には、ガラスびんからプラスチックに切り替わるケースが多い中で、逆にプラスチックからガラスに替わったケースをSNSなどで発信すれば、大々的な宣伝になり、ガラスびんの良さを伝える大きな一歩となるのではないでしょうか。

司会 最後に、今後の目標や抱負をお願いします。

黒田 私の課題は、製造者がつくりやすい設計をすることです。歩留まりが上がる設計を目標に、他社の金型の良いところも積極的に取り入れていきたいと思います。

岡田 売上を上げることが難しい化粧品業界の中で、他社が扱っていない容器をPRし、もっとガラスびんの良さを消費者に伝えていきたいです。

山口 ガラスは割れるからこそ、皆さんに大事にされてきたのだと思います。今後も、大切にしたいものはガラス容器に入れたくなるような、次の世代に残していける良い商品をつくり続けていきたいです。

佐々木 私は営業なので売上は大事ですが、会員各社協力し、同時に切磋琢磨する中で新しい商品が生まれ、それによって売上が上がれば何よりもうれしいです。

野口 弊社の毎年の目標は、歩留まり向上と再検率減少、コストダウン等で、中でも重要なのは歩留まりを上げること。そのために人材教育を徹底し、弊社で目標にしている設備強度率の達成を目指していきます。br>
石川 私も歩留まり向上が課題です。長年勤めている人は職人気質が抜けず、技術は見て覚えるものと考える人が多いように感じます。しかし、今の若い人たちに昔のやり方は通用しません。ですから、積極的に他社との交流の場を設け、技術的な欠点の修正や品質管理の方法を学べるきっかけをつくっていきたいですね。

古川 現在、他素材は多機能になってきていますが、ガラスびんに新しい機能をつけるのは難しいと思います。しかし、ガラスびんにも新しい機能をつけていかなければ、高級感や重厚感といった部分でしか勝負できません。そのため、キャップの方にも着目していく必要があり、ガラスびんフォーラム主導で新しいキャップを開発してくれないかと密かに期待しています(笑)。

大川 私は生産計画を立て、他社に金型を貸してつくっていただく業務を担当しています。以前は、液晶の製造会社に勤めていたので、他社と接する日々は刺激的です。これからもガラスびんの未来が良い方向に向かっていくように、他社と切磋琢磨して技術を高め合っていきたいと思います。

菅昌 企画の仕事を通して、もっとガラスびんの新しい見せ方などを広め、会社の企業理念である「期待を満足に、そして感動を」を胸に、消費者に感動を与えられるような新しい提案をしていきたいと思います。


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